用足しの合間に少し時間ができたので、ちょっと寄り道をしていこうと見回したところ目に入ったのが、神保町交差点近くにある古書センター。その名のとおり古本屋さん主体のテナントビルですが、入るのはずいぶん久しぶり。以前と違ったお店が入っているかしらと、ちょっとのぞいてみることにしました。
何軒か見て回ってから、5階にあった「薫風花乃堂(くんぷうはなのどう)」というお店に強く惹かれるものがありました。並んでいる品を見ると古本屋さんではなく、アンティークショップみたい。面白そうなので入ってみることに。
品揃えを拝見すると、陶器などのアンティークもあったものの、主力は鉱物のたぐい。化石やジェムストーンといった“石モノ”がご専門のお店とわかりました。石は大好きなので、すっかり嬉しくなり眺める目線にも熱が入ります。梅雨に合わせたのでしょうか、ちょうどカエルフェアが開催中で、作家さんがつくられたカエルグッズもズラリ。カエルも大好きな私としては、因縁めいたものも感じてしまいます。初めてにもかかわらず、このお店がすっかり気に入ってしまいました。

楽しく店内を拝見しながら、ふと目が留まったのは「このサイズで指輪にするかなぁ?」と首をひねってしまうような、大き目でゴツゴツした石のリングでした。お店の方にうかがうと、石の名前は「アストロフィライト」、和名では「星葉石」というそう。ちょうど、きざみのり(笑)のような黒い線と、金色の線が表面にちりばめられていて、オーバル型に加工してあるものの、質感はざらりとした石そのまま。長径はおよそ5センチあり、存在感十分です。
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海の近くで育ったこともあるのでしょう、子供の頃から砂浜に出ると、貝殻や石、波と砂で磨かれて丸くなったガラス片など、海岸に落ちていたものを拾って集めることが大好きでした。私にとってはいわば、収集癖の原点のひとつ。石に惹かれるのは、こういった原体験があるからかもしれません。年齢を重ねてからは、お守りとして天然石を身につけるまでになりました。
例えば今年に入ってからだと、一カ月のうち9割は、ギベオン隕石のリングと、イギリスの遺跡・ストーンヘンジに使われたのと同質の石を、ブレスレットにあつらえたものを身につけています。いずれも一見地味ですが、どこか頼もしさを感じていて、見当たらなくなると不安になってしまうほど気に入っています。

さて、「薫風花乃堂」で出会ったアストロフィライト、お店の方にお願いして、試着をさせてもらいました。左手の中指につけてみると、改めて「大きいなぁ」と思ったけれど、指にしっくりなじんで違和感はなく、きざみのりを散らしたような表面も渋い感じがして、とても気に入りつれて帰ることに。ふらっと入ったお店で、よい品に偶然出会えたご縁、そして世代の近いお店の方とも楽しくお話できて、嬉しい寄り道となったのでした。