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目尻に笑いじわのできた、どこか福助さんを思わせる顔立ち。ラシャらしい、上等そうな黒一色の制服をまとった中に、帽子にあしらった赤い「〒」のマークが鮮やか。もうおわかりかと思いますが、郵便配達員さんです。全体の雰囲気から明治のような感じがしますが、これが作られた当時は、郵便配達夫さん、郵便屋さんと呼ばれていたことでしょうね。

顔立ちとともに、全体的にふっくらとしたデザインに味があり、縁起物のようでもありますが、これは状差しなんです。No.261でご紹介したベビヰドヲルさんから、つれて帰ってきたモノのひとつ。西荻窪のお店をやめられたのが、2016年の2月ですから、いつの間にか3年も経っていたのですね。長い間気にかけながらなかなかできなかった額装が、ようやくできて嬉しくなり、記念に写真を撮ったというわけです。

郵便屋さんは、身長が約40㎝あり、大きい状差しです。薄い布地を切り抜いて貼り合わせたもので、頭の裏には壁に下げるための紐がついていました。「便郵」と左横書きされたカバンの部分が袋になっていて、はがきや封書を差しておけるようなつくりです。左足首が惜しくも千切れかけていたこともあって、入手したときから額装してあげたいなぁ、と思っていたのです。

最近、周りの人との連絡はメールやラインが主になり、手紙も書くこともぐっと減りましたが、感謝の気持ちを伝えたいと思ったら、あとまわしにせずすぐに書くよう、今も心がけています。今年に入ってから、近しい方が何人も亡くなられて、時間は限りがあることをいまさらながら、思い知らされていることもあります。
早く確実に伝えられて、便利ではあるけれど保存が難しいラインより、紙というモノが残る手紙って、手間はかかりますけれど、モノに想いを寄せてきた私にとって、大切にしてゆきたい手段の一つです。

思えば、通信手段が大きく変化したのは、平成に入ってからですよね。令和の時代は、もっともっと加速してゆくのでしょうか。怖いような、楽しみなような‥‥。娘が大人になったとき、こんな状差しというモノが、この世にまだあるのかしら? なんて、郵便屋さんの状差しを前に、あれこれ思いを巡らしてしまうのでした。