昨年冬のことです。旦那サンがわが家の近くまで帰ってきたら、長い間空き家になっていた、古い木造2階建てのもと床屋さんの建物が、取り壊しにかかっていました。壁が取り外されて中が見えたのでのぞいてみると、どう見ても戦前の建築と思われるデザインで、壊してしまうのが惜しくなるような、実に立派なものだったそうです。

何年放置されていたのか、道具や化粧品類も、錆びたりホコリをかぶってはいるものの、そのまま棚の上に。ふと足元を見ると、写真のような魅力的な缶が! 「これはアイツが喜びそうだなあ」と見つめていたら、ちょうど家主の方が出てこられ、お願いしたら「いいよ、持っておいで」と快く許してくださり、ありがたくいただいて帰ってきたとのこと。

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缶の高さは17センチ、直径は9センチほど。今もおなじみの花王の製品ですが、「ひげそり用」と銘打ってあるとおり、理髪店の業務用で、裏側の説明文には「耳かき三、四杯ほど容器にとりブラシに温湯を含ませて攪拌し使用します」とありました。いつごろ製造されたのでしょうか。この錆ぐあいから想像すると、けっこう古いと思うのです。今やシェービングクリームも、機械で自動的に出てくるのが当たり前ですが、ちょっと前までは、瀬戸物の器で茶筅のようなブラシを回し、シャカシャカと泡立てるシーンが見られましたから、懐かしい方も多いのではないでしょうか。もっとも私は女なので、「顔をあたる」というのにほとんどなじみがなく、人がされるのを何度か見たくらいなのですけれど‥‥。

お話を戻して、赤地に白の色合い、レタリングの手書きらしい温かみ、そしてブリキ缶の質感とどれも私好みで、素敵なおみやげに嬉しくなりました。汚れをすっかり拭いてから眺めていたら、地紋の横文字を読んでみたくなり、缶をクルクル回しながらためつすがめつ、首をかしげて解読。「kao shaving ‥‥」までは読めたのですが、後はわかりませんでした。なんて思っていたら、現在も同じデザインで販売されていました。人気商品なのですね。取り寄せて比較してみようかしらと思ったりして。

この1年、娘の送り迎えの道々に、ウチの近所だけ眺めていても、建築ラッシュといっていいほど。子供が雑草で遊んでいた空地は宅地となって、この床屋さんがあった場所も、3階建てのきれいなアパートが建ちました。
少し離れた通り沿いでは、古いお店や住宅の固まる一角が、再開発であっという間になくなり、高層のマンションがまるでタケノコのように、にょきにょき立ち上げられていくのです。娘が小学校に入るころには、この街の景観もずいぶん様変わりしていることでしょう。世代交代の時期だと思いつつも、なんだか寂しいですね。

それにしても、トシのせいかしら、季節の進むのが早いこと早いこと。
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故郷からこちらに帰ってきて、めでたく(?)誕生日を迎えたと思ったら、もう桜の時季も終わり。なんとか時間を作って、娘と散りゆく桜を満喫しました。
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すごい! 大理石のような渦巻き模様を描く、神田川の花筏‥‥。一瞬しか見られないこういう景色って、癒されますよね。
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そして、つつじの季節。
根津神社のつつじも圧巻でした。雨上がりの夕方に、娘と自転車で「きっと今ならすいてるよ!」と息せき切って駆け込み。おかげでゆっくりと、存分にみずみずしいつつじを眺めることができました。以前もご紹介しましたよね。
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娘は年長さんになり、いよいよ幼稚園も最後の1年です。
相変わらず、なにかと忙しく過ごしていますが、一息ついて古いモノを眺めると、やっぱりホッとリラックスできますね。「この趣味があるから頑張れるんだ!」改めて、そう思えるのでした。

最後になりましたが、熊本地震のことを。親しい方のご実家があることもあり、本当に心配です。1日も早く余震がおさまり、少しでも復旧が進んで、日常の生活が戻ってこられますよう、お祈りしています。熊本の特産品を買うなど、微力ですが、私にできることでわずかでも支援させてもらえればと思っています。